十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

みすてり・あれ・これと🔎

弾十六 訳 リチャード・コネル作「閃光」part 2

A Flash of Light by Richard Connell 初出: Redbook Magazine June 1931(挿絵Rico Tomaso) Part 1はこちら↓ In the library of the house on the cliff, a spacious room paneled in oak. Matthew Kelton sat with Andrew Moor. Moor was haggard. His red-…

ハメットとクイーン

名探偵の世紀: エラリー・クイーン、そしてライヴァルたち 原書房 Amazon この駄文はWebサイト『ミステリの祭典』に、断片的に書いたものをまとめたもの。なので既視感があっても不思議じゃないですよ! ダシール・ハメット(1894-1961)って、日本ではイマイ…

なぜ英米でミステリが著しい発展を遂げたのか?

フチガミ先生が、マーティン・エドワーズのミステリ史研究の大著 The Life of Crime を国書刊行会から今年刊行の予定、とのこと。 "エドワーズ氏の研究書としては、我が国では『黄金時代の探偵小説』が紹介されて評判となりましたが、The Life of Crime は、…

事実は驚愕すべきものだった!

届きました! 早速コピーライトを! えっ?この書き出し、中篇版じゃん! まだ全部チェックしてないけど、ここら辺、中篇版ともかなり違う! つまりバークリーは発表にあたって中篇原稿を直してる! コピーライトが本人、という事は、アンソロジー書き下ろし…

弾十六 訳 リチャード・コネル作「閃光」part 1

A Flash of Light by Richard Connell 初出: Redbook Magazine June 1931(挿絵Rico Tomaso) Black night was pressing down on the hard gray sand.(1) 夜の黒が、砂の灰色を押し固めていた。 The surf smashed and hissed on the beach.(2) 波が浜辺で砕け…

バークリー「偶然の審判」初出の謎を解く?

あまりにトリビアルなネタ。古い探偵小説の重度のマニアしか喜ばないはず! 藤原編集室のWebサイト『本棚の中の骸骨』の投稿コーナー「書斎の死体」に掲載されている真田啓介さんの「The Avenging Chance の謎」(2013年5月改訂版)、これが本当に素晴らしいエ…

長すぎた感想: ドロシー・L・セイヤーズ『毒を食らわば』(1930) ★★★★★★☆☆☆☆

Webサイト『ミステリの祭典』でも全部収まらないほど大長篇となった。そのため続きをこっちに入れました。 前半は『ミステリの祭典』でお読みくださいね。(無事、全部『ミステリの祭典』に収まりました… 良かった良かった。こっちも残しておきます。) p54 ふ…

鳩と鷹 (Dove & Falcon)

ヘンリーとウィリアム、1900年代初頭。Wiki より。 ヘンリー・ジェイムズ『鳩の翼』(1902年出版、翻訳は青木次生「ヘンリー・ジェイムズ作品集3」国書刊行会2004)を最近ぼちぼち読み進めている。 ヘンリー・ジェイムズ作品集 (3) 鳩の翼 作者:ヘンリー・ジェ…

エラリー・クイーン・ミステリーってTV番組がありました

1975年にNBCから放映され、日本では1978年にフジテレビから字幕スーパーで放映された60分のミステリドラマ… 1947年のニューヨークを舞台に… ジム・ハットンにヒーローとしての魅力が不足しており、1シーズンで終了… (パイロット版を含め全…

ピーター卿のモデルはアステア(とバーティ)

ドロシー・L・セイヤーズの探偵ピーター・ウィムジー卿は「フレッド・アステアとバートラム・ウースター(ウッドハウスのジーヴス・シリーズ)がモデル」というようなことを作者自身がどこかで言ったか書いていたはず。 なあるほど、と思って外見イメージはア…

祝アガサさんデビュー百年越え: 第三弾 つらい1926年

シミルボン投稿日 2022.09.17 (移転ものも、これで最後です) 第二弾はこちら 番号は前回(第二弾)を継承(8️⃣は新規追加)。 1️⃣『死の猟犬』短篇集1933出版 “The Hound of Death” 死の猟犬 (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,小倉 多加志 早川…

お金は大事だよ〜【資料】日本・英国・米国篇(改訂版)

シミルボン投稿日 2022.08.20(はてブ2023-8-25:内容を増補改訂して2〜3回分に分割) ※ 1797年のTwopence貨幣 直径41mm 昔の小説を読んでいて、外国通貨が出て来ると、これって、今の何円相当なんだろうか、と思ったこと、ありませんか? ウンザリするほど訳注…

ガボリオとドイルの(斜め)関係

シミルボン投稿日 2022.06.04 世界推理短編傑作集6 (創元推理文庫 M ン 1-6) 東京創元社 Amazon 今回取り上げるのは、このアンソロジーの最初の作品、エミール・ガボリオ作『バティニョールの老人』(初出Le Petit Journal 1870-7-7〜7-19) 何故か本作は初出…

廻転式拳銃とエジプト十字架

2023-8-24はてブ公開 絶望したボルヘスが拳銃とエラリー・クイーン『エジプト十字架』を持ってホテルに泊まり、自殺するつもりだったけど、その探偵小説があんまり面白くて朝になっちゃったので生き続けることにした、というのを一年ほど前にWebで知り、ずっ…

TVドラマ S2 ep1 #40 Corresponding Corpse米国公開1958-9-20

2023-8-23はてブ公開 ペリー・メイスンDVDコンプリート版(1957-1966)[英語]全271話の感想を書く! 英語字幕とPMESGをたよりに話を追っているので通常でも会話の理解は70%程度です! トリビアは Perry Mason TV Series Wiki | EpisodePages / Show40 スチル…

祝アガサさんデビュー百年越え: 第二弾 アガサさんの1924年

シミルボン投稿日 2022.05.03 1️⃣『死の猟犬』短篇集1933出版 死の猟犬 (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,小倉 多加志 早川書房 Amazon 2️⃣『リスタデール卿の謎』短篇集1934出版 リスタデール卿の謎 (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリステ…

紅茶を受け皿で

シミルボン投稿日 2022.03.05 連続自殺事件【新訳版】 (創元推理文庫 M カ 1-13 フェル博士シリーズ) 作者:ジョン・ディクスン・カー 東京創元社 Amazon ジョン・ディクスン・カーの傑作ミステリ『連続殺人事件』(1941)の新訳が出ました。旧訳(井上 一夫 訳 …

最初期のシャーロックのライヴァル

シミルボン投稿日 2021.12.24(ところどころちょっと手直し2023-8-22) マーチン・ヒューイット【完全版】 作者:アーサー・モリスン 作品社 Amazon マーチン・ヒューイットも、ソーンダイク博士同様、今となってはマイナーな存在で、その名を知る人も少ないだ…

スポーツ用語と翻訳

シミルボン投稿日 2021.11.18 犯罪の中のレディたち〈下〉―女性の名探偵と大犯罪者 (1979年) (創元推理文庫) Amazon 最近、翻訳のことばかり書いてるような気がします。私は子供の頃、人と話すのが苦手で、翻訳者って書斎でコツコツ仕事が出来そうで良いなあ…

TVドラマ S2 ep20 #59 Stuttering Bishop(どもりの主教) 米国公開1959-3-14

2023-8-21はてブ公開 ペリー・メイスンDVDコンプリート版(1957-1966)[英語]全271話の感想を書く! 英語字幕とPMESGをたよりに話を追っているので通常でも会話の理解は70%程度です! 以前、シーズン2から字幕が出ない!と騒いでましたが、DVDプレイヤーのSub…

ペリー・メイスン第9話。1936年9月出版。★★★★☆

シミルボン投稿日 2021.09.05 どもりの主教 ペリー・メイスン 作者:E・S・ガードナー グーテンベルク21 Amazon どもりの主教 (ハヤカワ・ミステリ文庫 3-1)(1981) 表紙:深井国 グーテンベルク21版はハヤカワ文庫と同じく、田中西二郎訳。冒頭を確認した…

チャンドラー、ボガート、ボーセージ (To say good-bye is to die a little)

シミルボン投稿日 2021.09.04 (シミルボンのお題「この「ひとこと」だけで読む価値がある!」に「字幕とミステリ(チャンドラー、ボガート、ボーセージ)」というタイトルで投稿したもの) 映画字幕(スーパー)五十年 (ハヤカワ文庫NF) 作者:清水 俊二 早川書房 …

JLBとGKC (とJDC/CD)

シミルボン投稿日 2021.09.03 アポロンの眼 (バベルの図書館 1) 作者:ギルバ−ト・キ−ス・チェスタトン 国書刊行会 Amazon ↑旧版(1988)は変形本 新編バベルの図書館〈2〉イギリス編(1) 国書刊行会 Amazon 『バベルの図書館』(以下の引用は旧版1988から)の第一…

アルゼンチンの探偵小説叢書 第七圏

シミルボン投稿日 2021.08.27 メモリアス―ある幻想小説家の、リアルな肖像 作者:アドルフォ ビオイ=カサーレス 現代企画室 Amazon ビオイ=カサーレスとボルヘスは二人とも探偵小説のファンで、エメセ社の翻訳探偵小説シリーズ「第七圏(El Séptimo Círculo)」…

TVドラマ S1 ep36 Prodigal Parent 米国公開1958-6-7

2023-8-19はてブ公開 ペリー・メイスンDVDコンプリート版(1957-1966)[英語]全271話の感想を書く! 英語字幕とPMESGをたよりに話を追っているので通常でも会話の理解は60%程度です! トリビアは Perry Mason TV Series Wiki | EpisodePages / Show36 スチル…

TVドラマ S2 ep19 #58 Caretaker’s Cat(門番の飼猫) 米国公開1959-3-7

2023-8-19はてブ公開 ペリー・メイスンDVDコンプリート版(1957-1966)[英語]全271話の感想を書く! 英語字幕が無いのはやっぱり辛いなあ… PMESGをたよりに話を追っているのでシーンごとに一旦停止して観ています。でも会話があんまり聞き取れない。全体の理解…

ミステリと普通小説の間

シミルボン投稿日 2021.04.23 自殺の殺人 (創元推理文庫) 作者:エリザベス フェラーズ 東京創元社 Amazon 実は最近(というか昔から)普通小説はあんまり読んでなくて、ミステリばかり読んでいる。かつて(社会人になり仕事で悩んでた頃だったろうか)、絵空事を…

アガサ・クリスティのデビュー101周年記念!第一弾デビューの頃

シミルボン投稿日 2021.01.20 昨年2020年は、アガサ・クリスティのデビュー100周年。そんな事とっくの昔に知ってるよ、と言うあなた。ではデビューした月はいつでしょうか? スタイルズ荘の怪事件 ポアロシリーズ (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリステ…

ミステリの本質

シミルボン投稿日 2020.10.23 ルルージュ事件 作者:エミール ガボリオ 国書刊行会 Amazon オルシバルの殺人事件: ルコック事件簿 作者:エミール・ガボリオ Amazon 最近、ガボリオの探偵小説 第一作『ルルージュ事件』(出版1866;連載1865)と第二作『オルシバ…

TVドラマ S1 ep24 Deadly Double 米国公開1958-3-1

2023-8-17はてブ公開 ペリー・メイスンDVDコンプリート版(1957-1966)[英語]全271話を次々と観て、感想を書く企画! 英語字幕をたよりに話を追っているので通常でも会話の理解は70%程度、今回の字幕はところどころ乱れがかなり多くて理解度50%程度です! …