十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

法律って何?

 


歴史において法律が至高の存在になったのは、王が勝手に法律を作っちゃダメ、とした1689年の英国権利章典あたり? まあ良く知らないのであまり深入りしないが
でも法律って融通が効かないから、どーにかならないか?と思うことは多い。危険運転致死傷罪なんて良い例だと思う。あるいは三人殺せば死刑の解釈とか。最近の某国ではグレーゾーンを無闇に拡大して、法律上、罪じゃないから「〜には当たらない」とうそぶいて、勝手にシュレッダーにかけたり、こっそり文言を直したり、確実で完璧な証拠が無いと全否定したり(証拠が揃ってきたら後でシレッと訂正)、などとやりたい放題。そんなことしてたら閻魔様に舌を抜かれるよ!(まあともかく、言論が当てにならないなら暴力で、と考える人を増やしちゃうよね…)
合理的に法律を制定し、モラルに則って運用する。そして何故その制限が存在するのか、と常に省みて、時代に合わないものは変えていくことが必要だろう。(惰性にすぎないものを几帳面に守っちゃうのが日本人の性なのか。校則の異常な茶髪禁止令(自毛証明まで必要だという…)などが良い例)
さて、成文憲法の嚆矢たる米合衆国憲法は、有名な条文(特に有名なのは銃規制で話題となる修正第2)を除いて日本の一般人にはほぼ知られていない。でも法律って何?を問うのに、やはり最初のモデルを一応頭に入れておくべきだろう。
遡り好きな私はハムラビ法典

ローマ法の本を

買って読んだりしたが、法律って、その当時の習慣と密接な関係があるので、まず背景が気になり、全く一筋縄ではいかない。まだ研究中(←全然進んでない)です。
今回の本『アメリカ合衆国憲法を英文で読む』は実に明快で気持ちの良い本。英米文学の翻訳家である著者が「法律は素人ですが」と言いながらも、1998年当時のヘンテコな(多分今はマシなのが出てると思うが)米国憲法翻訳文の誤訳や意味不明なところを指摘している。(翻訳した大先生たちの名前は伏せられている。このマナーも良い。まあ書名や出版社名は明記されているのでバレバレだが…)
全ての条文(修正条項含む。本書の訳語は「補正条項」)を逐条解説する著者の文章は簡潔にして用を得ていて、現在の合衆国憲法上の争点や話題も、後半でまとめて紹介している。(憲法の修正案は1996年までに11000回以上提出されたが、両院を通過した案は僅か33しかない、という。ある意味健全であろう)
本文よりも補正条項の解説がとても面白い。なるほど、そーゆー意味があるのね、と何度も唸った。
英語の勉強にも法律の勉強にも米国小説の理解にも役立つ、わかりやすい本。非常にお薦めです。
日本国憲法を考える際にも、その出自を考えると合衆国憲法の影響は無視できないので、必須の知識とも思うが、あまり話題に上らない。まあ色々手を出すヒマがないんだろうが

2020.07.18(シミルボン掲載)