十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

ペリー・メイスン第8話。1936年3月出版。★★★☆☆

シミルボン投稿日 2020.08.15

私はハヤカワ文庫(宇野利泰訳)で読了。グーテンベルク版も同じ訳者なので内容は同じだろう。

前回の引きは

デ「叔父さんが夢遊病で、満月の夜にナイフを持ち出すらしいんです」

ペ「もし夢遊中に犯罪を犯したら、痛快な問題だな!」

夢遊病なんて、なんか胡散臭いんだよね。映画ノスフェラトウ(1922)あたりの古いネタに感じるしでも調べると睡眠障害の一種らしく、現代でも子どもの例は多いらしい。ストレスで再発するというのも本当のようだ。
Jackson2
回目の登場。「事務員」と訳されてるが原文ではlaw clerk(弁護士の助手、書記、事務員、法修習生などの意味。前作ではyoung lawyer)。見張りや尾行もこなしており、後年の「前例至上主義者」でゲジゲジ眉毛のカチコチ弁護士とは別人のような活躍。受付のスミス嬢は、この作のみの登場。英国の有名な法律学者ブラックストーンの大理石像(お気に入りの帽子掛け)が初登場。

写真はSir William Blackstoneの胸像(Marius Azzi c1917) これのレプリカか?

 

物語の舞台がカリフォルニアの実在の地名(ハリウッドとサンタ・バーバラ)なのはシリーズ初。メイスンの行動や策略も控えめで、ホルコムやバーガーとの掛け合いも低調。
まあでも、そんじょそこらの探偵ものに比べるとストーリー展開が面白いし、ドキドキする場面もタップリ。ただ今までのシリーズに比べると落ちる、というだけ。
冒頭に出てくる別居中の妻への月額1500ドルは米国消費者物価指数基準1936/2020(18.64)当時の$1=現在2008円で換算して301万円。えらい金持ちですなあ… (当時は大不況時代だから尚更)
なお本書に出てくるサッジャー博士『夢遊病と月光』Sleep Walking and Moon Walking: A Medico-Literary Study by Dr. J. Sadger of Viennaは独初版1914年、英訳1920年の実在本とのこと。(メイスン弁護士のトリビアThe Perry Mason Bookからの情報)