十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

宗教的メタファーがちょっと多めだけど現代日本でも共感できる不幸

シミルボン投稿日 2022.05.04

(シミルボンのお題「本を読む気がしない時に読む本」に投稿したもの)

原著1933年出版。各セクションが短くて読みやすい。
この程度の宗教的なあれこれは当時の西洋人なら当たり前。まあ一種の社会的なクリシェ。それを無視して本書の本質を感じ取れば、主人公の心にダメージを与える数々の不幸話は現代日本でも通じるものばかりだ。
なぜ我々は他人の不幸話を読みたがるのか、不幸なニュースが大好きなのか。それは胸に手を当てて考えればすぐに結論が出てくるだろう。
自分自身のそんな嫌な部分を否定しても仕方ない。
そういうものだ、と人間存在を受け入れ、でもそれでも高邁な理想を求めて前進する。それが克己というものだ。
まあでもほどほどに。
理想は簡単に裏切られ、裏切った自分自身を責めて、そして他人を責めて惨めな状況に陥るのが、これまた人間だ。
自分自身を知る、というのは自分の限界を知る、という事だと思うのだ。