十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

お使いは二人で

シミルボン投稿日 2021.09.07

塩で清める、という行為を思い出した。白さに意味があるのだろう。故に、真っ白な塩が良いと思われる。白ければ白いほど、良さそうだ。多分、少し黄色がかった高級なやつはダメなような気がする。
本書は昭和12(1937)の刊。今やっておかないと、滅びてしまうような習俗の記録をとりあえず作った、という感じ。でも、葬送は家族ではない他人が行うので、存外しぶとく古形を残すのではないか、ということも著者は記している。
死の穢れの感覚は、非常に強烈なので、葬送に関わる「言葉」さえ汚してしまう、ということが、繰り返し述べられる。その言葉を使うと、否応なく、死にまつわる行為を思い起こしてしまうのだ。
800語ほどが、葬儀の35の場面ごとに、ゆるやかにまとめられている。不明なところは、わからない、と率直に書いていて、事典、というよりノート的な感じ。私には、ほぼ全てが未知の習俗で、その手に馴染みの薄い私は、今市子百鬼夜行抄』の世界を思い出すくらい。でも何故か「二人使い」には心が惹かれた。
死を、縁者や他の地に知らせる役目は、必ず二人で行かなくてはならない、という風習が日本各地にあるらしい。何故二人なのかは、よくわからないが、そういうことになっている、という。
他の文化にも似たような風習はあるのだろうか。いろいろ調べてみたくなった。
(
とりあえず、今、書庫のどこかに松涛 弘道『世界の葬式』(新潮選書)がある。WEBで探すと、他にもいろいろな本が出ている。また本が増えちゃいそうだ…)