十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

映像化による「別の面白さ」ならここら辺りかな

私は昔から「読んでから観る派」で、ゲーテ「我が想像の沙翁舞台を超えるもの無し!」な主義なので、より面白い、というより別の意味で良かった!というのは確かにある。

 

まずはこれ。

デザインと音楽とビジュアル・インパクトが素晴らしい! (内容は嫌な話だが…)
ベートーベン第九第4楽章のあの辺りに来ると、あのポン、ポン、と光るシーンを思い出しちゃうよね。
(
2001』の大宇宙船&ドナウ、とか、サンライズ&かく語りきもインパクト大だ。クブリックには名曲泥棒の称号をあげよう)

 

最近観たのはオリヴィエ主演の白黒。
かなり忠実な劇化。当時っぽいセットや衣装も素敵。俳優の演技がパントマイムみたいでキマっていた。
ただ河合説「太ったハムレット」が常に頭をかすめ、ハムレットのセリフなんてわがままに育てられたマザコンの理屈っぽい言辞に思えてならなかった。ジョン・べルーシ(オタキング岡田さん)みたいなキャラが、やはりぴったりかも、と思った。

 

映画は『三つ数えろ』ボガート&バコールの白黒。
かなり忠実な映画化で、いかにもハードボイルドな台詞はリー・ブラケットのお手柄らしい。
なんか訳わからんけどスピーディな展開とスリルあるシーンの数々。
説明しないけどなんとなくわかる、という感じのままグイグイ押し切ってるのが素晴らしい。私立探偵映画としては最高の部類。
これは小説も映画も同じくらい良い出来。ハワード・ホークスらしく映画の方は美女てんこ盛りだ。(小説の翻訳は双葉御大のが良い。でも今のヒトにはかなり古いと感じられる表現が結構あるから、創元さんはイキの良い翻訳家で新しいのを出したら良いと思う。早川のM氏のふにゃけた文章が大嫌い(ファンの人ごめんね)なので別の選択肢が欲しい…)
今、パッと思い出すのはこのくらい。(←全部古いね〜) 若い人にも観たことなかったら試してみてもらいたい。(私は今、1920年代のサイレント映画にハマってる。日本語版が無くても字幕はストップモーションでじっくり意味が取れることに気づいたのだ。セリフに頼らず映像で魅せる工夫は現代の表現テクニックでも参考になる筈)
マルタの鷹や影なき男は映画は観たけど小説はまだなので、読んだらまたこのお題で書きたいなあ…(きっとどちらも傑作だと思う)

2020.07.20(シミルボン掲載)