十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

お前は段々死んでゆく

PKDの代表作って『アンドロ羊』とか『火星スリップ』とか『流れよ涙』とか、(私は好かんけど)『高城』とかがあがるのかな?

私は断然このユービック。新宿の紀伊國屋でズラっと並んでたペイパーバックから最初の原書として選んだのもUBIK。(←短かったからだけだろ?)

↑最初のハヤカワ文庫の表紙


次点は『スキャナー』(代表作とするにはエスエフ味がちょっと薄いから。小説として評価するなら絶対こっち)

 

さて、ユービックの方は、冒頭から飛ばして、オチのアレまで一気呵成のジェットコースター。(途中に挟まってるユーモラスな小ネタも好き)
短いのも良い。普段PKDが時々見せるセンチメンタルで愚痴っぽいところもほとんど無くて、カリフォルニアの大気のようにカラッと仕上がっている。
子供の頃、これを読んで、オチには感心しなかったが、あっ、もしかして生きるってことは段々死んでいくってことなのか!と気づかせてくれた作品。
表面上はただの冒険SFなのだけど、いろいろ深読み出来そうな感じ。(そーゆーのって評論家がいじくり回して大抵残念な結果に終わるのだが…)
さっき気づいたが、このカラッとした感じ、ペリー・メイスンものにも共通してる。このドライ感は、情感好きな日本人には合わないのでは?それがメイスン絶滅の原因かも、と考えるようになりました。(後で別項にまとめる予定)

 

ユービックに戻ると『×××××』で××を使ったPKDのことだから、発想の元はアレだと思う。(これネタバレかもしれないので伏せ字にしました… イチンイチン気にして、ここまでシンチョウになること、無いかなあ)

2020.07.13

(2023-8-7追記: 最後の伏字関係、自分でももう思い出せない…)