十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

お金って大事【資料】ロシア篇(改訂版)

シミルボン投稿日 2022.08.20(はてブ2023-8-26:内容を増補改訂して23回分に分割)

 

前回は資料が揃ってる日・英・米各国の価値換算を見てみました。

今回は帝政ロシアソビエト連邦(現代)ロシアを取り上げます。

(なお私が神西訳で先日疑問に思った点(↓をご覧くださいね)は、この新訳でほぼ解消しました。でも神西訳の味わいのある日本語は捨てがたいなあ…)

プーシキンスペードの女王/ベールキン物語』(1830年代)50コペイカがいくらになるのか、ロシアの消費者物価指数(CPI)の連続したデータが見当たらず、前回は価値換算を諦めたのですが、いろいろ調査して、以下により推計することにしました。

 

[以下も20228月に計算した数値をそのまま記載しています]
まず金や銀について、1971年のニクソン・ショック以前は、ポンドやドルが基軸通貨となり、金や銀の裏付けとなっていたことで一定の安定性があった、と評価して、単純に金基準(又は銀基準)を、乱暴な話ですが全世界共通物価を反映しているものとして換算します。ベルリンの壁崩壊以降のロシア経済統計は1992年以降は整備されており、CPIも公開されています(1992/2022で38934倍)。つまり1971年から1992年までの物価の統計があれば、何とか連続した数値として推計可能なのです。そこでWeb検索すると、1970-1990までのソ連の賃金月額の上昇率と1987-1992ソ連の賃金月額の統計が見つかりました。賃金上昇率はCPIの上昇率とほぼ同様、とこれまた乱暴に仮定して、1970年から1992年までの消費者物価指数の変化を、全く独断的な数字の操作ですが私的に推計しました(数値で示すと2.24倍)。結果、1ルーブル(1970)は、2022年には87212倍になり、87ルーブル(途中に1/1000デノミあり)であると推計しました。(仮定に仮定を重ねすぎているので、かなりアバウトですが…)
1830
年代の1ルーブルは銀換算で18g、金換算で1.2gです。1970年の銀18g5.89ルーブル、金1.2g8.07ルーブルです。それぞれ87.212倍して、現在の為替レート(ルーブル/)で計算すると、銀CPI(推計)基準で1193円、金CPI(推計)基準で1634円です。なのでこの間の額という事にしておきましょう。当時のロシアは銀本位らしいので、銀ベースのほうが近いのかなあ。


なお、当時のロシアの貨幣に関してはWebサイト「総合案内 ロシアの通貨」(齋田 章2010)の「ロシア革命の貨幣史」が非常に詳しく恐ろしく充実しており、とても参考にさせていただきました。(なお当該サイト内で「ドストエフスキーの世界」として、1880年ごろの1ルーブルを平成年間の約22002700円とされておられます。こちらは日本の消費者物価指数ベースで計算したもの。つまり1880年の1ルーブルは日本円でいくらに相当するのかを確認して、あとは日本のCPIにより現在価値を計算したわけです。これってちょっと考え方が違うのでは?というのは次回で説明しましょう) [2023-8-26:残念ながら当該サイトは閉鎖されていました]

ロシアの通貨(ロシア貨幣流通史雑記録)

 

次回はフランス、ドイツなどについての予定