十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

多分、皆このトリックは知ってる

シミルボン投稿日 2020.08.03

収録5番目『火縄銃』
内容はシンプル。学生服にインバネスを羽織った素人探偵の姿が可笑しく、警察に平気で生意気な口を聞くところが大正ロマンだ。
乱歩さんは、自作解説で、学生時代の大正五年(1916)の一、二年前に書いた、と主張してるが、発表したのは昭和七年(1932)。「幼稚な文章だが、米国P氏の有名作品(単行本1918)にトリックだけは先んじてる」と自慢げだ。当時乱歩さんは知らなかったと思うが、P氏の当該作の雑誌初出は1914-7、さらに英国B1890年代後半の先例(エラリー ・クイーン関係のアンソロジーで邦訳も読める)があった。
火縄銃の猟銃なんだが、こう言う細筒(長さ129cm)みたいな感じか。

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引き金を引くとバネ仕掛けで蛇の頭みたいな火バサミ(頭部分に火縄を挟む)が落ち、火皿に盛った点火薬に着火。点火薬の火は中心の孔から導火薬を伝って銃の内部に。弾の後ろに詰め込まれた発射薬が爆発し、弾丸が発射される、と言うメカニズム。
明治末には狩猟用に村田式猟銃が安く出回り火縄銃の時代は終わった、と言う説もあるが、本作を見ると「きわめて旧式な」と書かれてはいるが、火縄銃の猟銃は普通に現役で周りも不思議に思っていない感じ。昭和三十年代にも猟銃として近所の爺様が使ってたよ〜と言う証言もあるらしい。
さて、このトリックは、前装式の古い銃であることを要する(英国B氏も米国P氏も使用銃は古い前装式のもの)。新式の後装銃だと(a)XXXXがある部分が(b)XXXXされているから、こーゆーふーにはならない。
あと本作の変なところは銃が見つかった位置。(c)XXXXを舐めちゃいけません。まあでもごく軽い弾で火薬も少量なのかも。だからあり得ない、とまでは言わないけど、そこにあるのはやっぱり変だよね。
伏せ字の答えは、下から拾ってね!(a)9(b)6(c)3
*尾栓、*火縄、*反動、*簡素化、*引き金、*密封、*発射炎、*撃鉄、*発射薬、*銃剣、*重量