十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

ペリー・メイスン第1話。1933年出版。★★★★☆

 

 

私が読んだのは新潮文庫(宇野利泰訳)。

ビロードの爪 (1964年) (新潮文庫)

昔はハヤカワ文庫の黄色い背中や創元文庫がずらっと並んでいたものです。今や影も形もなし。大抵の書店には置いてません。一番入手しやすいのがグーテンベルク21の電子版(ただし第1シーズン11冊と初期の数冊のみ)。私見では第1シーズンを第1話から第11話までとしています。まあ誰でもそう思うはず。全て最後に次の予告が必ずついていて(米国単行本初版では、ですが。米国ペイパーバック化の時などで刊行順序が変わり、それにあわせて予告も差し替えたり、後年の版ではマルッと削除したりで、邦訳本では結構ぐちゃぐちゃになっちゃってる)作者が、当初想定した一区切りですから…

さて本作ではいきなり主人公メイスンのパンチが炸裂。(この人、全然正義の味方では無いです。依頼人が無実なら絶対に無罪を勝ち取ってやる!というタイプ。大胆な行動を結構平気でやらかす初期作品が一番楽しいのです。) 美人秘書デラはapproximately twenty sevenで、シリーズ唯一ちょっと生い立ちも語られます。デラとメイスンは知り合って5年。本作では無茶な行動は控えめですが、依頼人に翻弄されながらも上手く切り抜ける姿が見ものです。銃は32口径コルト・オートマチック、シリアル127337が登場。このシリアルなら1912年製のM1903 Pocket Hammerless, Type 3です。

 

デラとメイスンの関係性が後年の作品とちょっと違うんですが、これはこれで良い。鉄面皮な行動派弁護士の活躍を見よ!(気が弱くなった時に読むと元気が出ます)

2020.07.10(シミルボン公開)