十六 × 二十

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軍隊とは官僚制だ。官僚制度を改めなければ同じことが繰り返されるのでは?

シミルボン投稿日 2020.08.16

2009年〜2013年『表現者』連載。この連載の前半23名分は別途『近代未満の軍人たち』(2009)としてまとめられているが、私は未見。いずれもエリート軍人たちの軌跡から戦争を読み解く試み。
登場するのは明治から昭和にかけて活躍した24名。荒井郁之助、村田経芳、黒田清隆西郷従道山田顕義、小川又次、本郷房太郎、山下源太郎、田中義一岡田啓介宇垣一成、南次郎、荒木貞夫、多門二郎、櫻井忠温、高橋三吉、兼田市郎、岡部直三郎、石原莞爾、角田覚治、保科善四郎、大西瀧治郎、阿部孝壮、田中新一、堀場一雄。
当たり前のことだが、組織は人間が作っている。軍隊の本質は官僚制だ。組織としての官僚制度は根強く日本社会に連綿として保存されているように思う。
エリート士官学校を出て、後は仲間内の互助会で出世。他からの意見は一切聞かない、聞く必要がない、硬直した制度。そんな組織が腐らない訳がない。
自由な風は、仲間内以外との幹部クラスの人事交流と悪質なものを排除できる仕組み(下っ端職員すらいまだに強固な身分保障が必要って、どういうこと?)を作るしかないのだが
日本が戦争に突入してしまったのは、普通の国なら陸軍優位が当たり前(最後に国民を守るのは、船で遊んでる海軍ではなく、地べたを這いずり回る陸軍である)なのに、両軍を対等にして、お互いの暴走を招いたこと。どっちかの大臣が拗ねたら内閣が飛ぶんだから、両軍とも拒否権を持っていた訳だ。これでは文民統制は不可能だ。
日本人は熱くなればすぐに戦争状態に突入し、国民はお互いの牽制で「非常時だから仕方ない」とまた一丸となって勤勉に突き進むのだろう。そうなれば誰も止められない。今、口先で戦争反対と叫ぶものは、真っ先に転向し、大日本帝国万歳!と叫んでいるはずだ。
戦争を否定するなら、軍事や戦争に関する知識を風化させてはいけない。職業軍人やミリオタだけに軍事を任せていてはいけない。第9条を盾にすれば軍事は米国に丸投げで、日本人は全ての軍役から免れる、なんて幻想は捨てて、かつての歴史から素直に学ぶべきだと思う。
グローバルホークの導入を止める、というニュースは本当なのだろうか?先日の地上イージス中止に続き、実に喜ぶべきニュースだ。そういうまともな軍事知識で政治を語れる人が増えて欲しい。(もちろん全員がそうである必要は無い)
この著者は、突飛なことを言うこともあるが、かなりまともである。http://st2019.site/でその意見が無料で読めるので、お試しあれ。