十六 × 二十

本について。時々他のネタも。心臓が悪いのでコメント不可です…

アガサ・クリステイ『死人島』をスタア誌 昭和十四年九月上旬号で読む!

いやもうビックリです‼️

戦前からある素敵な高級映画グラフ誌「スタア」が、なんと国会図書館デジタルコレクションで無料でオンラインで読めるんですよ!しかも画質調整や全文検索も可能なんです!

さっそくアガサ・クリスティ『死人島』の連載を見てみましょう。

※ なおオンライン読書のためには、本登録(個人)が必要で、数日かかります。日本国籍があるなら証明書の写しなどを電子送付して登録が許可されたらオンライン読書(国会図書館の用語では「送信サービス」)が出来るようになる仕組み。詳しくは「国会図書館 本登録」で検索願います。

まあ一部なら引用の範囲で良いよね…

昭和十四(1939)年九月上旬号第七巻第十六号より(当時は月二回発行、用紙不足もあり本号から廿銭に値上げ、と書かれていた)

ご存知、アガサさんの最高傑作『そして誰もいなくなった』の本邦初訳ですね!

あれ?でも英国コリンズ社初版("Ten Little Niggers")は英Wikiによると1939年11月、じゃあ清水先生は雑誌連載(Saturday Evening Post 1939年5月20号から)を取り寄せて翻訳してたんだ!

Saturday Evening Post 1939年5月20号から、最初の挿絵二つ。Henry Raleighの絵が良いですね。

アガサさんは売れっ子作家だったので、米国超一流雑誌(原稿料も最も高かった)Saturday Evening Postに何作も長篇連載権を売っています。(最初は『オリエント急行殺人事件』1933年9月30号から、続いて『三幕の悲劇』、『メソポタミアの殺人』など。)

当時は英国より米国の雑誌連載権が高額だったため、世界初登場は米国雑誌であることが多かったのです。

連載権の額は不明ですが当時の一万ドル以上(現在だと二千万円くらいか)であることは間違いなさそう…まあでもこの莫大な収入は英国歳入庁に見つかってかなり長い間凍結されちゃってたのですけどね。なので毎日の生活費確保のために毎年頑張って上質のミステリ作品を量産できた、という良い結果に繋がったのでは?と思っています。

このように清水俊二さんの戦前の翻訳や米国映画スタアの豪華美麗なポートレートなど、大量の蔵書が無料で見られるのは非常に素晴らしいサービスです。ソフトウェアも結構な水準ですけど、まだまだ使いづらい部分がたくさんありますね…

フランス国会図書館ならば、外国人でも登録不要で(もちろん無料で)、古い書物や有名新聞のバックナンバーなんかもスイスイ見られるんですけどね。(こちらはBNF gallicaで "Le Petit Journal 1870"を検索してみてください。7月7日に無事辿り着けたら以前にネタにしたガボリオ『 バティニョールの老人』連載初回の編集長の前説が見られます。このインターフェース、かなり「やるな!」という感じです。ちょっとわかりにくいですが、操作メニューを英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ロシア語にもできるのです!)

本邦の国会図書館デジタルコレクションには、早川書房ポケミスとか創元推理文庫とか東都書房や博文館や改造社などの探偵小説系の古い全集なども、1970年以前のものは結構オンライン読書可能なものとしてリストアップされているようですので、読みたいものが莫大に増えて嬉しい悲鳴です…