今週のお題「好きな小説」
子供の頃、読書はミステリ小説(アガサ・クリスティさん)が入口で、すぐエスエフも好きになって、海外の探偵小説やエスエフ小説ばっかり読んでいた。日本の小説はなんだか身近すぎて、皮膚感覚がねっとりくるのでほとんど読まなかった。そのうちヴォネガットを経てボルヘスなど集英社の緑の文学全集にハマって(でも古典的なのはあまり読まず)ずいぶん浅はかな文学通を気取っていたのは大学時代(1980年代)のワタクシです… ああ恥ずかしい。
それから急に小説って結局作家の脳みその限界じゃね?と思うようになって、ウィトゲンシュタインとかイリイチとかフーコーとかに行くわけですね。小説には飽きた、としばらく小説はほとんど読まず、ドキュメンタリー、ノンフィクション、歴史書、実用書、など、実際のことを書いた書物ばっかり読むようになったのでした。
小説に帰ってきたのは何がきっかけだったのかなあ。
まあでもペリー・メイスンをふと再読して「懐かしい、頭から全部読んでやろう」と思ったのが小説復帰の原動力。それで遅まきながら気づいたのだが、作家って書きたい人間関係があっても世を憚る内容とか、嫌われたり、訴えられかねない対人感情とかはフィクションにせざるを得ない、ということだ。
だから小説にしか描けないものは確かにある。もちろん現実には存在しないものもノンフィクションにはならないよね…
なので現実のカケラがそこかしこに埋まってる小説が好きです。ナボコフの「僕のあの思い出は誰それ(作中人物)にあげてしまった」という回想が切実。作家は人生の感情を切り取らざるを得ないのだ。
好きな小説、というテーマで、私は捻くれてるので、「ワタクシはこういう小説が好き❤️」ということを書いてみました!